コラム記事・研究会レポート

エネルギー医学の究極の鍵 「意識シリーズ」(3)

2021/07/25
研究会

文・降矢英成(エネルギー医学研究会世話人代表)

「意識はエネルギーの最高レベルの形態である」これは、『バイブレーショナルメディスン』を著したリチャード・ガーバーの名言です。
エネルギー医学を、ボディケア、レメディ、エネルギー機器などのさまざまなアプローチから実践・追求していくと、共通のキーワードとして必ず「意識」に突き当たることになります。
そこで、エネルギー医学研究会では満を持してこの究極のテーマである「意識」をテーマに4回連続講座をスタートしました。ここでは第3回をレポートします。

第3回 「意識」の発達段階&秘教から観た「意識の界層」

2021年2月6日(土)開催
主催:日本ホリスティック医学協会 関東フォーラム委員会

「意識研究とケン・ウィルバーのインテグラル理論の展開」
講師:久保隆司 (早稲田大学講師、日本ソマティック心理学協会会長)

ウィルバーは、意識について、唯脳論的な視点に陥っている「心身問題」は、物理世界のみを見ている“フラットランド(物質偏重主義)”の見方によって生み出されたものであり、意識は人間の理解を超えているのではなく、単に合理的段階の理解を超えているだけだと説明しています。そして、もし意識のあらゆる側面を最大限に知りたいと思うなら、自分自身の意識をさらに発達させなければならないとして「発達理論」を提示しています。
人間は、「合理性段階」で、普通の意味でのパーソナリティ的な発達のピークを迎え、その上の発達段階の第2層の「インテグラル段階」は、システム的、全体的なものの見方であり、多くのものをまとめて観念化できる統合(調和、統一性、ワンネス)の方向へと転じていきます。しかし、この「ティール/ターコイズ」のインテグラル段階まで達する人は、現実にはほとんどおらず、“発達心理学”の範囲での意識レベルの最高の到達点の段階とされます。
しかし、ウィルバーは、さらにその上の第3層の「超-統合段階」(スーパーインテグラル)というスピリチュアル/トランスパーソナルな段階を想定し、この段階は心理学などの「科学的エビデンス」をとれる範囲を超越しているとしています。
この段階の初期の「インディゴ段階(パラマインド、光明心)」では、人類全てを理解しようとする世界中心的段階から、生きとし生けるものすべて(有情)を理解しようとする宇宙中心段階へと移行し、自然の中に霊性を見出す「自然神秘主義」への指向が強くなります。
さらに上の「ヴァイオレット段階(メタマインド、直観心)」では、全体性を即時にみずから感じとる意識となり、粗大な物質的な身体運動感覚や覚醒時意識に縛られずに、想像力やビジョンが顕現してくる「神性神秘主義」の段階となります。
そして、さらに上位の「ウルトラ・ヴァイオレット段階(オーバーマインド、上位心)」では、「無形」や「空」に霊性を見出す「無形神秘主義」に至り、その上の「ホワイト/クリアーライト段階(スーパーマインド、超心)」では、分割不可(ワンネス)で、究極的に一なる「非二元神秘主義」の意識レベルになるという階層的な意識のとらえ方をしています。

 

「秘教における意識の定義とその進化」
講師:神尾 学(エソテリックサイエンス・スクール主宰)

神智学・秘教では、「生命」と「物質」と「意識」の関連性を説いており、「生命は、物質を通して顕現することで、意識という第三の要素を生み出す」と定義しています。言い換えると、生命たちはすべて、言わば、物質に根を下ろし、形態をまとっており、そうすることで自らの特異で特有な意識状態を実現しているともいえるのです。そして、「霊」と「物質」という2つの極が結合した結果であるこの「意識」は、すべてのものの「魂」であるというとらえ方をしています。
秘教では「進化の2つのライン」として、「形態の進化」と「意識の進化」があります。「形態の進化」は、具体的には「遺伝は、人間の体(形態)のために行われる自然の経綸である」ということであり、一方の「意識の進化」は、具体的には「生まれ変わり(輪廻転生)は、人間の進化(意識)のためになされる自然の経綸である」とされています。そのため、意識の発達・進化のためには、物質・形態が必要不可欠なものであり、「周期的に形態をまとう」ことによって「意識の発達」ができるという視点に立っています。
そして、「発達することで最終的には、自らがその一部であるより大きな意識に溶け込まなければならない」という方向性があり、人間という存在は、「神にかたどって造られ」(創世記・第1章26節)、輪廻転生という方法を通して、その意識が完全なる魂として花開くまで意識を発達させていくものとされています。そして、人間が生活と進化を営む場として物質界だけでなく、アストラル界など「太陽系の7つの界層」があるとされています。
秘教では、「物質そのものが持つ意識」→「植物や鉱物の感覚意識」→「動物の意識」→「人間の意識、つまり自我意識」→「グループ意識」と発展するとされており、鉱物・植物・動物の王国における生命、形態、知覚は、この人間の意識を目指して漸進的に発達してきたという視点をもっています。


『HOLISTIC NewsLetter VOl.109』(2021.6.22発行)
研究会レポートより

本セミナーは、Vimeoオンデマンドで受講できます。
https://www.holistic-medicine.or.jp/movie/「意識」シリーズ3/
【1】「意識研究」とインテグラル心理学の展開(本編59分)
【2】「形而上モデルから考える意識と秘教」(本編60分)