コラム記事・研究会レポート

代替療法の賢い利用法①

2009/03/31
補完・代替医療

代替療法の賢い利用法

西洋医学は「生物医学」(Bio-Medicine)とも呼ばれ、生物学を基盤にしています。そして、生物学は科学 を、科学は物理学を基盤にしています。いうまでもなく、現代医学はあくまでも厳密な科学にあるのです。したがって「近代医学以外のすべての療法の総称であ る「代替医療」は、別の表現をすれば、「科学で立証されていない」「非科学的」な治療法の総称であるということができます。

現代では、西洋医学が発展すればするほど代替療法の種類が増えていくという傾向がみられます。その理由は生命という現象の複雑性にあります。科学が検証 しえた生命や精神の領域はほんの一部であり、まだ検証していない膨大な領域が残されているかぎり、直感や経験にもとづく「非科学的」な療法が陸続として出 現してくるのは当然のことなのです。
そこに代替療法の真骨頂があると同時に、代替療法の 陥穽もまた隠れています。もしかしたら科学的な医学よりもはるかに生命の本質に迫っているかもしれない思想にもとづく治療法も、営利目的や売名目的で行わ れている空疎な治療法も、「非科学的」であるという点では変わらず、宿命的同じ代替医療に分類されてしまうからです。すなわち、科学という普遍的な物差し ではかることのできない代替医療は玉石混合であり、宿命的に詐術がつけ入りやすい世界でもあるのです。

そこで、利用者(医 療利用者=患者)は数ある代替療法の中から適切なものを選択する眼力をもつ必要があります。アメリカの代替医療研究家、メアリー・モートンとマイケル・ モートン夫妻による著書「最高の代替医療を選ぶ5つのステップ」(未訳)では、その方法を次の5点に要約しています。

・どんな選択肢があるかを知る
・よさそうな代替療法についての情報を最大限に収集する
・情報に基づいて取捨選択する
・選んだ治療家に面接して、納得する
・その治療家とパートナーシップを築く

「情報の収集」「治療家との面接と納得」「パートナーシップ」 がキーワードです。

広告を見てよさそうだと思ったという理由だけで高価な代替医療に手を出すのはリスクが多すぎます。できるだけ情報を集め、取捨選択し、 選んだ治療家と直接会って(それが不可能なら、せめて治療を受けた経験のある人たちに会って、納得するまで話をする必要があるでしょう)、十分納得した ら、その治療家と信頼関係を築くこと、それが重要です。