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今こそ、ホリスティック医学の出番だ

2022/01/29
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文・帯津良一(おびつりょういち)

ホリスティック医学の根幹

選ばれた、からだ、こころ、いのちのそれぞれにはたらきかける戦術を統合して得られた個性的戦略がホリスティック医学の根幹である。
からだら対しては治しの方法、主として西洋医学、こころに対しては各種心理療法、いのちに対しては多くの代替療法と養生といった癒しの方法を用いる。さらには患者と治療者の関係性の効果がこれに加わって戦略の効果となる。

戦略と実際

性的とはいっても、戦略を組み立てるのには共通の一定の順序がある。患者さんと私とが膝を突き合わせて戦友さながらに話し合う。まず養生から入る。

① 心の養生:ときめきのチャンスはかならず物にする。
② 体の養生:食については自分の理念を育てていく。運動については労働こそ養生の道であることを認識して実践する。
③ 気の養生:白隠禅師の呼吸法を範に、気功のなんらかの功法を実践する。

次に各種治療法を俎上に載せる
(西洋医学)手術、化学療法、放射線、免疫療法
(中国医学)漢方薬、鍼灸、指圧など。
(その他の代替療法)びわ葉温圧療法、ホメオパシー、アロマテラピー、丸山ワクチンなど。

以上の中から複数の養生法と治療法をピックアップして個性的な戦略を作るのである。かくしてホリスティック医学のスタートは医療と養生の統合ということになる。

戦略を担う先兵たち

① 心のときめきが免疫力と自然治癒力を高める最大の要因であることは59年に及ぶがん治療の現場での確信があるが、H・ベルクソンもすでにこのことに言及している。つまり生命の躍動(エラン・ヴィタル)が起こって生命が溢れ出ると人は歓喜に包まれる。ただしこの歓喜はただの快楽ではない。創造を伴っている。何を創造するのか?自己の力をもって自己を創造するのである。そして、生命の躍動、歓喜、創造という一連のダイナミズムは将来の何かに対する備えであるにちがいない。何に対する備えか?それは来世に対する備えであると、一気にホリスティック医学の究極に達するのである。

② 万人共通の食養生はないというのもまた私の現場での確信である。因みに私の食養生は貝原益軒の“好きなものを少し食べよ”である。そして、また益軒先生“怠らず労働するのが養生の道である”と喝破している。いくらAIのヘッドワークの時代になってもフットワークを忘れてはならないということだ。

③ 気功は40年やって一人前というのが中国4000年の歴史の教訓である。

④ 西洋医学では、血液をサラサラにするサプリメントを摂って脳梗塞を防ぎ、異性とうまく付き合って認知症を先送りし、牛肉と昆布出しを十分に摂って下半身の衰えを少しでも先送りすることだ。そして、ここのエースは免疫力だ。治療法としてはやっと免疫チェックポイント阻害剤まで辿り着いたがまだまだだ。しかし、私たちが留意するのは自然免疫だ。これまでいわれているのは発酵食品と体温の維持であるが、身心のダイナミズムを高める方法はすべて自然免疫を高めると考えてよいだろう。

⑤ 中国医学の対象はからだではなくいのちである。西洋医学に先んじて、すでに生命場に斬り込んでいる先鋭部隊である。生命場をまだ科学が解き明かしていない現在、エビデンスに乏しい嫌いはあるが、西洋医学よりもより上位の医学なのである。診断の根拠となる“証”とは生命場のゆがみのベクトルであると考えれば、ホリスティック医学の究極である霊性の医学に一歩迫っているのである。身を正して対処したくなるではないか。

⑥ ホメオパシーは生命場に斬り込んでいることにかけては西のエースだ。わが対がん戦略の一翼を担って21年。今では欠くことのできない戦力になっている

⑦ サプリメントは薬品ではないが着実に進歩して来ている。わが対がん戦力におけるまさしく画竜点睛である。

さぁ、今から始めよう!

このようにホリスティック医学の現場には免疫力や自然治癒力を高める方法が山積している。
好ましいものを選んで今から始めようではないか。コロナ禍の終息が見えて来るというものだ。

『HOLISTIC News LetterVol.111』より

帯津 良一 (おびつりょういち)
帯津三敬病院名誉院長、帯津三敬塾クリニック主宰。1936年生まれ。東京大学医学部卒業。医学博士。東大病院第三外科医局長、都立駒込病院外科医長を経て、82年埼玉県川越市にて開業。西洋医学に中国医学、気功、代替療法などを取り入れ、人間をまるごととらえるホリスティック医療を実践している。日本ホリスティック医学協会名誉会長。著書『死を思い、よりよく生きる』(廣済堂出版)、『ホリスティック医学入門』(角川書店)、『代替療法はなぜ効くのか』(春秋社)、『後悔しない逝き方』(東京堂出版)他多数。