コラム記事・研究会レポート

医療塾 第20回 名著を学ぶ『人はなぜ治るのか』アンドルー・ワイル著

2019/08/23
医療塾

医療従事者のための「ホリスティック医療塾」
2019年4月21日(日)於:大阪
◎レポート:愛場 庸雅(日本ホリスティック医学協会理事)

第20回「名著を学ぶ『人はなぜ治るのか』アンドルー・ワイル著」

「人はなぜ治るのか」アンドルー・ワイル著(上野圭一訳)、は1983年に刊行された、ホリスティック医学の原点とも言える名著と言われています。
 今回はこの本を改めて読んでみることにしました。

この本の原題は、「Health and Healing」であり、文字通り「健康と治癒」について、当時の医療情勢の中で新たな視点を提供したものです。「ホメオパシーはなぜ効くのか」、「イボ取りにさまざまな方法があるのはなぜか」、といった具体的な問いから発し、心と体の相関関係や21世紀の医療への考え方を述べています。刊行から35年以上経っていますが、医療に対する世の中の考え方は大きくは変わっておらず、その内容は今でも新鮮です。

意外だったのは、「ホリスティック医学」という言葉にも、やや否定的ともとれる見方をしていることでした。
曰く、「現行の医療が身体面にのみ関心を集中させて壁にぶつかっているという認識。優れた医学は精神的・霊的次元を含む全人的存在を斟酌するべきだという認識。上記の思想を除けば、理論的統一性あるいは一貫性がない。ホリスティック医学の旗印のもとにありとあらゆる治療法がまかり通り、その中にはかなりうさん臭いものもある。」と。これは当時のアメリカで認識されていた「Holistic」という言葉のイメージから来たものですが、今の日本の現状にも通じるかもしれません。

改めて、本来の意味の「Holistic」を、正しく認識する必要があると感じました。