コラム記事・研究会レポート

医療塾 第2回「がんの自然寛解を考える」

2012/05/12
医療塾

医療従事者のための「ホリスティック医療塾」
2012年3月25日(日)於:関西医科大学滝井学舎本館会議室
◎レポート:愛場 庸雅(日本ホリスティック医学協会理事)

第2回「がんの自然寛解を考える」

第2回のテーマは、「がんの自然寛解を考える」としました。

まず、緩和ケア医である関西支部長の黒丸が、実際に現場で体験した、末期がんでありながらも長期の寛解や腫瘍マーカーの低下が得られ良好なQOLを保った3例の患者さんを例にあげ、「なぜよくなったのか?」、「その背景に共通項はあるのか?」について考えてもらいました。

参加者自身も半数以上の人が、似たような長期寛解例を経験していました。それらのケースの治療としてのかかわりには、姑息的手術、抗がん剤、サプリメント、操体法、民間療法による「毒抜き」、リンパドレナージ、漢方薬、などさまざまで、何もしなかったという場合もありました。

では、「なぜその人たちに自然寛解が起こったのか?」について出た意見としては、治療者の言葉、日常の些細なきっかけから生き方を変えた、生活習慣(早起き、菜食主義)、環境の変化、他の病気(肩痛)に集中して癌へ意識が向かなくなった、開き直り・癌に執着しなくなった、退院して病院の悪い雰囲気・対人関係から解放された、家族と患者の関係、宗教感、他人からの祝福、至高体験、自分の気づき、死を受け入れたこと、などが挙がりました。
それを受けてのディスカッションでは、さまざまな意見が述べられましたが、要約すると以下のようになりそうです。

◎自然寛解を論じる場合、ステージなど客観的な評価も重要である。微細ながんであれば自然に治ることもある。またよく免疫力と言われるが、それを的確に反映しかつ簡単に検査できる指標がないのも現実である。

◎がんの要因には、家族・対人関係、不安、恐怖心などのストレスによる、本人も気づいていない交感神経の慢性緊張状態や栄養状態も大きな影響力がある。また、癌を心配しすぎて悪いイメージが現実化する場合もある。そこで、瞑想などの手段により、今行っている何かに意識を集中すること、今この時を生きること、心の解放、そういった実存的転換が重要と思われる。

◎しかし、何がストレスかは人によっても違い、がんだと言われたことや、治療が(現代医療、代替医療を問わず)かえってストレスになる場合もある。慢性的ストレスといっても、乳幼児にもがんは起こる。心の状態は大きな影響はあるが、必ずしも実存的転換やこだわりがなくなるといった単純な話だけではない。

◎現実には自然治癒というのは稀で、適応を考えつつ抗がん剤を使うことにより長期生存している人も多くいるので、何でもかんでも拒否するという態度も考えものである。生存期間の長短にかかわらず、その人のQOLを高めることを目指すのが重要である。

<参加者の感想>
「祈りの心の大切さ」、「がんの自然寛解には、気づきがあってよくなっている人も多いこと、心の部分も大きいことを理解した」、「意識の転換をきっかけに、がんの寛解を経験されている例が多い」、「子供のストレスについて考えさせられた」、「単に心と体だけでなく、ほかに色々な要因も考えたい」、「『五感で今を生きる』と言う言葉が印象に残った。」、「死にたいと思っている人が『生きられる』と言われてもストレスになるのだと気づいた」

色々な意見で議論は盛り上がり、少し時間を延長しての会になりました。
次回(第3回)は実際にあったケースのカンファレンスを行ってみたいと思います。