平成21年11月 8日(日)、当協会の「いのちの旅~ホリスティック医学の死生観~」と題するシンポジウムが開催された。
テーマは「死と向き合う医療とは」で、『納棺夫日記』で知られる作家、青木新門氏がゲストスピーカーとして招かれた。まず、当会の帯津良一協会長が口火を切り、15年来の親交があるという青木氏との間柄(縁)について述べ、続いて青木氏が登場。青木氏は自作『納棺夫日記』と同書を原案とした映画『おくりびと』の関係について自らの心中を語り、続いて二人の対談へと移った。
富山市で飲食店を経営する傍ら文学を志したという青木氏は、1993年に葬式現場の体験を綴った『納棺夫日記』で一躍ベストセラー作家に。それから15年後の2008年には『おくりびと』がアカデミー賞を受賞し、再び注目の的となった。
青木氏はその間の経緯について、本の映画化を切望していた俳優の本木雅弘さんとのエピソードを交えながら解説。いわく「映画のシナリオでは死を乗り越える部分(第3章)がカットされていた」が故に、原作者名からは自分の名前を外してほしいと願い出たという。
帯津会長との対談で語られたのは、映画ではカットされていた死生観で、青木氏は仏教書の「往生要集」や宮沢賢治の「永訣の朝」などを例にあげ、自身が死の現場で学んだことと仏教的死生観には共通点があり、死にゆく人から教わる現場の大切さ、そして、「宗教のない科学は不完全である(アインシュタイン)」と述べ、一方、帯津会長も「死をオープンに語り合うこと」の大切さと「ホリスティック医学は生と死を統合し、サポートするもの」との認識を示した。
第3部に行われた「生を根づかせる死~医療者の実践」と題するパネルディスカッションでは、進行役の山本百合子協会理事が3人の講演者に補足コメントを求めた。浦尾ドクターはルルドの泉を訪れた患者が元気になった体験をシェアすると共に、「全ての人が病と健康、生と死を移行するプロセスにある」との認識を示し、萩原ドクターは「ホリスティック医療では医療者の人間性が問われる。お茶を飲んでいる間に患者さんが癒されるのが私の理想」と語り、吉井さんは「死は肉体を脱ぐだけ」と明言。各人各様の死生観が示され、総じて、真摯に死と向き合う医療の必要性が確認されたシンポジウムとなった。(了)
第一部 対談
帯津三敬病院名誉院長、日本ホリスティック医学協会会長、日本ホメオパシー医学会理事長。東京大学病院第三外科、共立蒲原総合病院外科、都立駒込病院外科を経て1982年、帯津三敬病院を開院。ホリスティックなアプローチによるがん治療を実践している。
著書:「死を生きる」「ホリスティック養生訓」他多数。
青木 新門作家。早稲田 大学中退後、富山市で飲食店「すからべ」を経営する傍ら文学を志す。
1993年葬式現場の体験を「納棺夫日記」として著しベストセラー となり全国に注目され、2008年には「納棺夫日記」を原案とした映画「おくりびと」がアカデミー 賞を受賞する。
著書:小説「柿の炎」、詩集「雪道」、チベット旅行記「転生回廊」、他。
第二部 講演
萩原 優
浦尾 弥須子
吉井 涼子


