ホリスティックコラム

帯津良一コラム

大ホリスティックな生き方

  大ホリスティックな生き方とは地球の場の生命力を高めつづけることに尽きる。
場に内在するエネルギーがその場の生命。エネルギーが何らかの理由で減量したとき、これを回復すべく本来的にその場に備わった能力が自然治癒力。そして生命と自然治癒力を合わせたものが生命力である。
 また、自然界は小は素粒子から大は虚空に至る場の階層から成り、上の階層は下の階層を超えて含むという原理が働いている。だから地球の場の生命力を高めるためにはすべての階層の場の生命力を高めなければならないのである。
 そして私たち一人ひとりは場の中を移動しながら生きている。だから常にわが身を置いた場の生命力を高めることに腐心(ふしん)しなければならないのだ。
 そのためには当事者の一人ひとりが自らの内なる生命場の生命力を高めながら、他の当事者の内なる生命場の生命力にも思いを遣らなければならない。
 
攻めの養生 ― 自らを高める
 
 人間まるごとであるから、病というステージにとどまらず、生老病死のすべてのステージを対象とする。つまり、これまでの医療の枠組を超えて医療と養生の統合ということになる。だから養生について、それなりの見識を持たなければならない。
 これまでの養生は身体を労わって病を未然に防ぎ天寿を全うするという守りの養生であった。
 ひるがえってこれからは日日生命(いのち)のエネルギーを高めていき、死ぬ日を最高に、その勢いを駆って死後の世界に突入するという攻めの養生である。
 そして攻めの養生の推進力はH・ベルクソンの生命の躍動。躍動によって生命が溢れ出ると私たちは歓喜に包まれる。この歓喜はただの快楽ではない。かならず創造を伴っている。何を創造するのか。自己の力をもって自己を創造するのである。しかもこの一連のダイナミズムは来世への備えであるという。
 
 
生きるかなしみを敬い合う ― 寄り添い合う
 
 旅情とは喜びと悲しみ、ときめきとさびしさなどが錯綜する、しみじみとした旅の想い。その根底にはかなしみが横たわっている。生きとし生ける者、その心の底にはかなしみを抱いているのである。
 自らのかなしみをいつくしみ、他者のかなしみを敬って生きることが養生というものではないだろうか。そうした養生を果たしていく人が増えることが、医療に本来の温もりを取り戻すことになるのだと20年以上前から説いて来た。
 まだまだ、がん治療の現場には殺伐とした雰囲気が払拭できないが、それでも少しずつは変わって来ている。もっともっとこれを推し進めて、患者さんを中心に家族、友人、医療者が心底寄り添い合うことができて、はじめて本来の医療を手にすることができるのである。特に医療者たる者、このことに腐心していただきたい。
 
 
生と死の統合 ― 死を手中に収める
 
生きとし生ける者、なべて生きながらにして生と死を統合することがホリスティック医学の究極である。死は誰にでもかならず訪れるもの。とすればできるだけ早く手の中に収めることだ。
死はわが人生のラストシーン。いい映画のラストシーンはすばらしい。ラストシーン次第でその映画の価値が定まると言ってもよいだろう。「駅馬車」、「荒野の決闘」、「カサブランカ」、そして「第三の男」と名ラストシーンが次々と蘇って来る。だから、自らのラストシーンを7つか8つ用意しておくとよい。
さらには死後の世界に想像を逞しゅうして、一人杯を傾けながら、私が行くのを待ち望んでいる誰彼との会話を楽しむことだ。あの世とこの世の境界が消えてくればしめたものだ。
 
 
道を楽しむ者は命長し
 
 この道は人によって異なるが、その人にとっての生き甲斐と考えてもよいし、これを生涯を通じて楽しみながら追い求めることを人間としての尊厳と考えてもよいだろう。
 この一行は貝原益軒の『養生訓』のなかの言葉だか、彼の念頭には『老子』の道(タオ)があったに違いない。
 
 学(がく)を為(な)す者は日々に益(えき)し。
 道(みち)を為(な)す者は日々に損(そん)す。
 之を損し又損し、以って為す無きに至る。
 為す無きにして為さざるは無し。
 
 捨てすてて一度空っぽになって、虚空いっぱいの自由を獲得するというのである。そして虚空いっぱいを存分に生きることになるのである。これが大ホリスティックな生き方の核心である。
 

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obitu-new-2帯津 良一 (おびつりょういち)
帯津三敬病院名誉院長、帯津三敬塾クリニック主宰。1936年生まれ。東京大学医学部卒業。医学博士。東大病院第三外科医局長、都立駒込病院外科医長を経て、82年埼玉県川越市にて開業。西洋医学に中国医学、気功、代替療法などを取り入れ、人間をまるごととらえるホリスティック医療を実践している。日本ホリスティック医学協会名誉会長。著書『死を思い、よりよく生きる』(廣済堂出版)、『ホリスティック医学入門』(角川書店)、『代替療法はなぜ効くのか』(春秋社)、『後悔しない逝き方』(東京堂出版)他多数。

 

 

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