ホリスティックコラム

帯津良一コラム

あくまでもホリスティックに

  患者はいうまでもなく、家族、友人、医師、薬剤師、看護 師、鍼灸師、心理療法士などが当事者となってつくる場の営みである。当事者すべてが自らの生命の場を広げながら相手の場に絡ませていき、コヒーレントな場 をつくる。
  そして、当事者ひとりひとりの努力によって、そのコヒーレントな場のポテンシャル・エネルギーを高めていくことによって、患者はもちろん、すべての当事者が癒される。これが医療である。
   病気であろうとなかろうと、人間は生きていく上で希望ほど大事なものはない。患者の希望を支えつづけることこそ医療の最大の役割といってよいだろう。楽しさと希望はプラシーボ効果を高め、それぞれの療法の効果を倍加することはまちがいない。

 

  それでは、医療人としてホリスティックに生きるということはどういうことか。そのことを指し示してくれたのが、代替療法の台頭から統合医学へと向かう世界の潮流だった。
  統合医学とは単なる足し算ではなく積分である。積分とは双方をいったん解体し、集め直してまったく新しい体系を生み出すことだ。気の遠くなるような大変な 作業なのだ。しかし、だからといって慨嘆していても埒は明かない。一歩でも前に出なければならない。そのために、あたかも映画「少林寺」で描かれている修 行のステップのように、さまざまな統合のステップが眼前に横たわっていることに気がついた。また、このステップを辿っていくと統合医学とホリスティック医 学の違いが歴然としてくるのである。

 

    1) からだ、こころ、いのちの統合
    2) 治しと癒しの統合
    3) 要素還元論と全体論の統合
    4) エネルギー問題とエントロピー問題の統合
    5) 病因論と健康生成論の統合
    6) エビデンスと直観の統合
    7) EBMとNBMの統合 
    8) 医療者と患者の統合   ← ここで統合医学の基本が固められる

 さらに
    9) 医療と養生の統合 
   10) 生と死の統合      ← ここでホリスティック医学が成就される。

 

 こうして統合のステップを眺めてみると、これまで求めつづけて来た人間まるごとを捉える方法論は、ある日忽然と現れるものではなく、この統 合のステップを一つづつ昇ることによって少しずつ形を成していくものであるような気がしてきた。夢は夢として、現実は現実として堅実に歩を進めていかなく てはならないのだ。 
   しかも、歩を進めながら、私たちは自らが身を置く環境の“場”のエネルギーを高めていかなくてはならない。それは、高いエネルギーを有する場を得て、はじめて上記の統合のそれぞれが果たされていくものであるからだ。

   だから、わが病院の場のエネルギーを高める、これが現在の最大関心事である。寝ても覚めても思うはこのことだけだが、これがまた思うようにはいかない。 ひとえに病院という場の当事者なかんずく医療者のこころざしと覚悟のほどにかかっているからだ。
 日々内なる生命場のエネルギーを高めつづけ、これを溢れ出させるのだというこころざしと目の前の患者さんを一歩でも前進させるのだという覚悟のほどが必要である。

 

  どうやらホリスティック医学というものは心のなかに培われていくものらしい・・・。
  だから私は残された日々をあくまでもホリスティックに生きて行きたいと思う。

 

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obitu-new-2 帯津 良一 (おびつりょういち)
 帯津三敬病院名誉院長。帯津三敬塾クリニック主宰。
日本ホリスティック医学協会会長。
 主な著書「死を生きる」(朝日新聞出版)「万物を敬う」(春秋社)ほか多数

 

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